2011年08月17日
伝えたい想い
真夏の炎天下の街の中
狭い一方通行の道を歩く
渋滞で何台もの車が並んでいる
クラクションが鳴り響き
ドライバーがいらついているのがわかる
そんな車の横を通り抜けると
向こうから
一台の車が立ち往生している
「ここは一方通行だぞ!なんばしよるか」
先頭のタクシードライバーが怒鳴っている
立ち往生している車に近づいて見ると
他県ナンバー
「ここは一方通行ですよ どちらへ行かれるのですか」
「・・・・・」
しばらくして
「ワカリマセン」
「タイから来ました」とカタコトの日本語
「ひとまず広い道路に出ましょう
すぐそこに国道がありますから
そこにガソリンスタンドもあるから
そこで道を尋ねたらどうですか」
なかなか言葉が通じなかったが
国道という言葉に反応してくれた
車は方向転換しようとバックし始めたが
その運転の危なっかしいこと
再び先頭のタクシーが
「何やってるんだ」と罵声
駆け寄っていき
「タイから来た人で地理が分からない」というと
「そうか」
運転手さんはタクシーから降りていって
笑顔でOKの合図
車はバックし始めたが
もたついているので
後続の車がまたクラクション
「タイから来た人で地理が分からない」というと
「そうか」とその運転手もおとなしくなる
またその後ろに止まっている車にも訳をいうと
先程までの尖った空気が穏やかになる
やっと難所を通り抜けた自動車が
わたしの横を過ぎるとき
そのタイ人と
一緒に乗っている母親と祖父母らしき人たちが
手を合わせて何度も頭を下げるのが目に入った
「お気を付けて」
爽やかな風が通り抜けた