2009年10月05日
ある胸打たれた話 ③

まったく偶然に、七夕の日であった。その日はじめての父母会が開かれた。1年に入って最初の会なので、お母さんはほとんど全員が集まった。先生は教室に笹を飾り、子ども達に短冊をくばって、お願い事を書かせ、笹に下げさせた。
お母さんが揃ったところで、先生は1枚1枚読み上げていった。1年生であるから、もっとオヤツちょうだいとか、オコズカイちょうだい、あのオモチャ買って、とかそんなことばかり書いてあった。
ずっと読んでいったとき、先生は思わず瞳を凝らした。中の1枚にこう書いてあったのだ。
「かみさま ぼくの となりのこの うでを はやく なおしてあげて ください」
先生はこみ上げて来るのを、必死で押えて、その短冊を読んだ。
体の不自由な子のお母さんは、子どもがどんなに教室で苦労しているだろうと、教室の中に入れないで、廊下からそうっと中の様子を眺めていた。
しかし、先生はもうこらえきれなくなっていた。「神様、僕の隣の子の腕を、早く治してあげて下さい」というその祈りを、あの子が、あの体操着を手伝った子が書いたのだと思うと、もう我慢してはいられなかった。
先生はお母さん達に体育の時間のことを話した。
その時であった。体の不自由な子のお母さんは、廊下から飛び出してきて、教室の床にべったり坐って、弟の首を抱きしめ、涙を流しながら叫んだ。
「坊や、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう、ありがとう・・・・・・・・」
その絶叫は学校中に響いたという。
出典 : 「一歩先の『発送』が湧いてくる本」 鈴木健二著 より
私事になりますが、私と家内は見合い結婚です。それも待ち合わせ場所をお互い間違えたため1時間も遅刻して、たった1時間話をして分かれました。分かれるとき本屋でこの本を求めて、こんな家庭をつくりたいと渡したのが、いまの家内です。「人のお世話のできる子に育てたい」と夫婦で同じ価値観を持ち、3人の子どもに恵まれ26年の歳月が流れました。
大変生きづらい時代になりましたが、お互いが思いやる気持ちを忘れないように、こころのゆとりを持って生きていきたいと思います。
Posted by kenkouarisa at 20:55│Comments(0)
│菅 健一です