2010年03月27日
患者さんからのテストを受ける

医療には難しい問題がいくつもあります。医師が患者さんの状態を診断するために検査をするように、患者さんたちも医療者をテストしています。初対面の印象だけでなく、毎回の診療においても治せるか否か、十分な知識を持っているかどうか、技術はどうか、今日の機嫌はどうかまでさまざまなテスト問題を医師に出題します。もちろん採点者は患者さん。基準が人それぞれであるだけに、合格点をもらうには大変苦労します。じっくりいろんな角度から採点(評価)してもらえればよいのですが、ただ一度のテストで評価されるのはなんともやるせない思いがします。全身の治りにくい病気でしたら採点者も多少は大目に見てくれるところもあるかもしれませんが、こと歯科に関しては厳しいのです。それは毎食に関することだから。からだの他の部分は休養させることもできますが、こと口の中に関しては具合悪くても休ませるわけにはいかないのです。人は生きねばならないので食欲には敏感になります。だから噛めるか噛めないか、痛いか痛くないか、即テストの連続です。もし痛ければヤブ、噛めなければヘタクソで不合格です。他の診療科はもう少し合格点が緩やかではと思うのはわたしのひがみ?さらにわたしのように自由診療医として健康保険の効かない診療をするものにとっては、その合格点を自分で格段に上げてしまっているのですから、自分で自分の首を絞めるようなものですね。それだけのリスクを負いながらこれまで20数年やってきました。
ところでテストにはランキング(順位表)が付き物です。グルメランキングのように味やサービスも評価されます。でもこれも評価は中立ではないような気がします。あくまでその人の主観が入ります。こと医療に関しては病院の評判も難しいでしょう。だって病名は同じでも治療法や治り方は個人で雲泥の開きがあると感じるのです。情報があふれ過ぎて、正確な情報が、それを必要とする患者さんへ伝わらないもどかしさを感じます。少なくとも治療費が高い安いだけで、ご自分の健康の選択基準としないでと言いたくなります。
テストするかしないかというような相手を試すような人間関係でなく、ご自身の健康に必要なお口の健康を作り上げるために一緒に治療に参加し、自分の健康は自分で守るという意識を持って取り組まれることが大事ではないでしょうか。そして生涯健康でいられるよう医療者の意見を取り入れて、人生を楽しんでいただきたいと思います。
Posted by kenkouarisa at 09:00│Comments(0)
│菅 健一です